建設業から農業へ――地域に根ざした新たな挑戦
当社では、「環境未来都市」として持続可能なまちづくりを推進する北海道下川町・上名寄地区において、平成17年より農業生産に取り組んでいます。この取り組みは、公共事業の減少に伴う建設業の経営基盤多角化を目指した「建設業ソフトランディング対策モデル事業」などの国・町の支援制度を活用し、当初は地元建設業者2社の共同事業としてスタートしました(現在は当社単独で運営)。町有の農地を借り受け、農業という新たな分野で地域に貢献しながら、雇用の創出と資源の有効活用を目指しています。

技術と研究が生んだ“果実のようなトマト”

農業参入から今日に至るまで、私たちは栽培技術の向上に絶えず取り組んでまいりました。特にこだわっているのは「環境制御型ポット栽培」です。トマトの苗を地面に直接植えるのではなく、1苗ごとに専用ポットへ定植し、根の状態や水分量、肥料濃度などを徹底的に管理することで、栄養ストレスを最小限に抑え、トマト本来の甘みと旨味を最大限に引き出します。
また、北海道の冷涼な気候と、下川の清冽な水資源、昼夜の寒暖差といった自然条件が、糖度の高い、果肉の引き締まった高品質なトマトづくりを可能にしています。これらの努力が実を結び、私たちのトマトは、まるでフルーツのような甘さとみずみずしさをもつ「フルーツとまと」として高い評価を得ています。
オリジナルブランド「North★Sweet」

こうして生まれた自社ブランドが、オリジナルフルーツとまと「North★Sweet(ノーススイート)」です。糖度は通常のトマトに比べて非常に高く、平均で8〜10度を誇り、口に入れた瞬間、豊かな甘みが広がります。一粒一粒にぎゅっと詰まった旨味と爽やかな酸味が絶妙なバランスで調和し、デザート感覚でも楽しめる逸品です。サラダにはもちろん、お子さまのおやつやギフトとしても大変喜ばれています。
【North★Sweet販売ページ】 https://northsweet.stores.jp/
地域との連携・販売体制

「North★Sweet」は、下川町上名寄地区にある当社の直売所にて、毎年7月から9月にかけて旬の時期に販売されているほか、ホームページを通じた全国配送にも対応しています。直売所では、朝採れの新鮮なフルーツとまとを直接お買い求めいただけるため、毎年リピーターのお客様でにぎわいます。
また、地域との連携を大切にしながら、地元に根ざした農業ブランドとしての確立も進めています。
コントラ事業(麦・蕎麦の耕起・収穫作業)について

株式会社谷組では、地域農業の担い手不足や高齢化といった社会的課題に対し、建設業で培った機械操作技術と現場管理力を生かした「受託農業業務」を展開しています。その一環として、JAおよび下川町の農業法人「畑のくらし」からの依頼を受け、麦・蕎麦の耕起作業および収穫作業を受託しています。
この業務は、単なる農作業の代行ではなく、地域農業の維持と生産性向上を支える重要な役割を担うものです。耕起作業では、播種前にトラクターを用いて土壌を深く耕し、空気と水分のバランスを整えることで、作物が健康に育つ土台をつくります。一方、収穫作業では、生育状況や天候を見極めながら適期に作業を行い、品質の高い麦・蕎麦を効率的に刈り取ります。
谷組の強みは、建設現場で長年培ってきた機械の扱いに対する高い技術力と、安全・効率を重視した現場管理体制にあります。オペレーターは重機操作に熟練しており、圃場の状態に応じた最適な作業方法を判断しながら、確実に業務を遂行します。また、繁忙期には柔軟に人員を確保し、地域の作付スケジュールに支障をきたさぬよう万全の体制で対応しています。
このような受託農業への取り組みは、農業に関わる方々からの信頼をいただくとともに、地域全体の農業生産体制を守る重要な役割を果たしています。谷組は今後も「農業支援企業」としての責任を果たし、建設業の枠を超えて、地域に必要とされる企業を目指してまいります。

